2022.12.26 2023.08.09
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リーダーシップを発揮する社員の具体的な行動8選

リーダーシップを発揮するためには、遂行すべき「8つの行動」があります。「リーダーシップを発揮する社員を育てたいが、具体的にどのような行動をしてもらえば良いか分からない」という担当者の方は、ぜひこちらの記事を参考にしてください。

【目次】

ビジネスの場で求められるリーダーシップとは

リーダーシップとは、一般的には”指導力”や”統率力”などと言い換えられ、目標達成のために個人やチームを導く力のことを指します。

組織の力を高め、大きな成果を出すために、リーダーシップはリーダーだけでなくメンバー一人ひとりが発揮することが必要です。その上で、本記事では「リーダーがチームを牽引する際に必要となるリーダーシップ」にフォーカスして解説していきます。

リーダーシップ論研究者であるジョン・アデアは、リーダーシップは以下の3つの要素から成り立っていると説きました。

3つの要素

・資質
リーダーが生まれながらにして持つ資質によるリーダーシップ

・状況
リーダーの知識や権威に基づいたリーダーシップ

・機能
リーダーが組織に働きかける機能的行動に基づくリーダーシップ

 

本記事では、上記「機能」に焦点を当て、リーダーシップを発揮するにはどのような行動をする必要があるのかについて詳しく解説していきます。

「資質、状況」にあたるリーダーシップに求められる姿勢や、知識・スキルについては、以下の記事で紹介しているので、ご覧ください。

リーダーに求められる実際の行動8選

リーダーがリーダーシップを発揮するには、具体的にどのような行動をすれば良いのでしょうか。ここからは、ジョン・アデアが提唱した、”リーダーが遂行すべき8つの行動”について解説していきます。

リーダーが遂行すべき8つの行動

①仕事を明確にする
②計画する
③説明する
④統制する
⑤評価する
⑥動機付けする
⑦支援する
⑧模範となる

 

リーダーに求められる行動①仕事を明確にする

リーダーはチームや組織、個人に対して、それぞれの業務の目的や目標、業務の具体的な内容を明示する必要があります。そのために、まずはリーダー自身が「なぜ、なんのためにそれをするのか?」を明確にしましょう。

その際、リーダーは業務の目的や目標、業務の具体的な内容を「SMART」に整理することがポイントです。「SMART」とは以下の言葉を意味します。

SMART

Specific(具体的)
・Measurable(測定可能)
・Achievable(達成可能)
・Realistic(現実的)
・TimeConstrained(期限付き)

 

リーダーが業務の目的・目標を明確にして提示することで、メンバーは自分が求められていることを具体的にイメージしやすくなります。その結果、メンバーは自分が組織の目標達成のために起こすべき行動について、思案できるようになるでしょう。

また、仕事の目的が明確になっていれば、チーム内で共通認識をもった上で、誰が何をすべきかなどを適切に検討することができます。チームに課せられているミッションを、まずはリーダーが正しく理解し、メンバーが理解できる形に落とし込むことが重要です。

 

リーダーに求められる行動②計画する

仕事の目的・目標が明確になったら、目標を達成するための「計画」に落とし込みます。

計画を立てる際のポイントは以下の3点です。

POINT

(1)施策の優先順位を明確にすること
(2)代替案のある実現可能なプランを考えること
(3)メンバーと一緒に考えること

 

■(1)施策の優先順位を明確にすること

まずは、組織全体を見て、目標達成のためにどの事業、分野を優先して進めていくのかを決定しましょう。優先順位を立てる基本的なフレームワークは、「重要度」「緊急度」に分ける方法です。

優先順位:高
 ↑
【1】重要度が高く、緊急性も高い
【2】重要度は低いが、緊急性が高い
【3】重要度は高いが、緊急性が低い
【4】重要が低く、緊急性も低い
 ↓
優先順位:低

優先順位を立てた上で、各分野やチームごとに、目標とそれを達成するためのプロセスを細かく考えていきます。

■(2)代替案のある実現可能なプランを考えること
計画を立てる際には代替案までしっかりと考えておくようにしましょう。代替案をいくつか用意しておくことで、元々立てた計画が上手くいかなかった場合でも、スムーズに対応することができます。

■(3)メンバーと一緒に考えること
目標達成のプロセスをメンバーの意見を聞きながら考えることも重要です。チームで相談しながら計画を練ることで、組織目標が一人ひとりのメンバーにとって、より意味のあるものとなります。

メンバーと意見を出し合いながら計画を立てるためには、リーダーとメンバー間で信頼関係が築けていることが必要です。そういった関係の上で意見交換を繰り返すことで、目標達成に向けて、建設的かつ独創的な議論をすることができるでしょう。

 

リーダーに求められる行動③説明する

リーダー自身が目標達成のプロセスを明確にした後は、メンバー一人ひとりが理解できるよう、その仕事の目的、計画を具体的に説明します。その際に、各メンバーが担う役割をリーダーから明確に伝えることが重要です。そうすることで、メンバーが、自分に任された役割と、チーム全体の目標との繋がりを理解することができます。

また、目標設定時だけではなく、定期的に、何度もメンバーに説明をすることも大切です。初めは組織の目的や目標を意識して業務にあたっていたとしても、時間が経つと目の前の業務ばかりに目が向いてしまうこともあるでしょう。そういったタイミングで、再度目的・目標を伝えることで、全体の目的を意識し直して業務に取り組むきっかけとなります。

 

リーダーに求められる行動④統制する

メンバー個々人がもつエネルギーを組織が目指すゴールに向けて集約し、まとまったチームの力として発揮できるようにすることも、リーダーの役割だと言えるでしょう。

人数が多い組織では特に、メンバーそれぞれのエネルギーが分散しやすい傾向があります。チームの目標達成をするために、リーダーはチーム全員が同じ方向を向いて進んでいくことができるよう、働きかけることが求められるのです。

また、リーダーのみがチームに働きかけるのではなく、チームの力を発揮するためには、メンバー一人ひとりのセルフコントロールが非常に重要になります。
リーダーは、各メンバーの自己管理や、自律を促すような働きかけをすることが大切です。

リーダーに求められる行動⑤評価する

目標に対してのチームや個人の結果を正しく評価することも、リーダーに求められます。

評価を行うことのゴールは、組織の発展のための振り返りを行い、次に打つ改善の一手を明確にすることです。そのためには、上手くいったこととそうでないことの両方を、「次にどう生かすか」という視点をもって、具体的に振り返ることが重要となります。

何かが上手くいった場合には、その成功要因を明らかにし、失敗した際には、原因を振り返り同じことを繰り返さないようにしましょう。また、結果だけではなくプロセスを見て振り返ることも重要です。

さらに、リーダーが振り返りを行って終わりではなく、チーム全体で共有し、意見を言い合う場をもちましょう。チームで振り返りを行うことで、リーダーがもつ視点をメンバーにも共有することができ、チーム全体の視座が上がることに繋がります。

 

リーダーに求められる行動⑥動機付けする

リーダーが個々のメンバーを動機付けることも、リーダーの大切な役割の1つです。

動機付けには「外発的動機付け」と「内発的動機付け」があります。外発的動機付けは、成功したことに対して他人から奨励されたり、報酬が与えられたりなど、外からの影響によって起こるモチベーションを指します。

一方、内発的動機付けは、その仕事自体が楽しいから続けたい、というようなメンバー自身の内側から湧き出るモチベーションを指します。

リーダーがメンバーに動機付けを行う際には、メンバーの内発的動機にアプローチすることが、より重要だと言えます。なぜなら、内発的動機付けをもっている人の方が、コミットメントや、粘り強さ、クリエイティブ性が高いという傾向があるためです。

内発的動機付けに影響を与える要素の1つに「関連性」があります。関連性とは、自分がどれだけ対象のものや人との繋がりを感じ、安心しており、尊重されていると感じているかを意味します。

メンバーに内発的動機付けをもってもらうためには、リーダーは、メンバーに対して気づいたことをこまめにフィードバックしたり、日頃の感謝を伝えたりすることが、有効な手段だと言えるのです。メンバーは、「リーダーは自分の働きをきちんと見て、評価してくれている」と感じ、内発的な動機付けをすることが可能となります。

 

リーダーに求められる行動⑦支援する

組織として物事が円滑に進むように、個々のメンバーに目を向け、支援することもリーダーの大切な役割です。メンバー自身が課題に向き合い、乗り越えられるようなアプローチを行いながら、チームを前進させていきます。

特にメンバーへの奉仕や支援に優れているリーダーは、”サーバントリーダー”と呼ばれています。NPO法人「日本サーバント・リーダーシップ協会」は、サーバントリーダーシップに必要となる10の特性を掲げています。

10の特性

(1)傾聴(Listening)
(2)共感(Empathy)
(3)癒し(Healing)
(4)気づき(Awareness)
(5)説得(Persuasion)
(6)概念化(Conceptualization)
(7)先見力・予見力(Foresight)
(8)執事役(Stewardship)
(9)人々の成長に関わる(Commitment to the Growth of people)
(10)コミュニティづくり(Building community)

 

参考:NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会「スピアーズによるサーバントリーダーの属性」https://www.servantleader.jp/about/10s

 

リーダーに求められる行動⑧模範となる

リーダーには、メンバーの模範となるような行動も求められます。どのような仕事に対しても、リーダーはメンバーに影響を与える存在であるということを認識し、組織から求められるあり方・考え方、仕事の仕方で任務を遂行しましょう。

また、自分が決意した事柄を必ず成し遂げる、有言実行の姿勢で仕事に取り組むことも重要です。誠実に仕事に向き合うリーダーの姿をメンバーに見せていくことで、メンバーは、リーダーを尊敬し、目標としていくようになります。

良い風土が組織に醸成されるまでに多少時間はかかるかもしれません。それでも、リーダーの模範的な行動がチームに浸透するまでは、リーダーは組織から求められている姿に沿って仕事を進めていくことが大切です。

あなたのリーダーの適正は?リーダーシップをチェック

ビジネスの場で求められるリーダーシップや、具体的な行動がわかったところで、「自分はどのくらいリーダーシップを発揮することができているのだろうか?」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。

ここでは、自分がリーダーシップを身に付けることができているかを確認するための、具体的な方法をご紹介します。

リーダーシップがあるかをチェックする方法

リーダーシップはビジネスの現場においても、身に付けておきたいスキルであるため、自身のリーダーシップ能力を確認することは重要です。しかし、リーダーシップは、目に見えるものではないため、確認するのはなかなか難しいとも言えます。
そのため、自分の行動やパフォーマンスを客観的に評価し、フィードバックを受け取ることが必要です。

そこで効果的なのが、上司や同僚・部下などから直接フィードバックをもらったり、自分を客観的に知ることができるチェックシートを使って確認したりする方法です。

まずは、普段一緒に働いているメンバーに、自分の強みや弱みなどを聞いてみることで、「何ができていて、何ができていないか」を客観的に知ることができるでしょう。予め質問を用意した上で聞くことで、より具体的な内容や改善点まで聞ける可能性が高まります。

また、上司との1on1ミーティングやフィードバック面談を実施している会社は、そのタイミングで上司に聞いてみるのも効果的です。同僚や部下からは得られないような視点や、自分自身も気づいていない新たな一面を知ることができるでしょう。
他の人からのフィードバックや評価を求めることで、自分のリーダーシップスキルや影響力について理解することができます。

一方で、自分以外のメンバーになかなか聞くことができない、そのような機会がないという方は、チェックシートなどを用いて確認するもの良いでしょう。チェックシートの項目にそって、自分自身を振り返ってみることで、客観的に自分自身を把握することができます。

リーダーシップを知るためのセルフチェックシート

 

リーダーシップを身につけるポイント

最後に、リーダーシップを発揮するために、確認しておきたいポイントを解説していきます。
ポイントは以下の4点です。

POINT

・目標を細分化し、業務を明確化する
・メンバーの模範となる
・進捗管理を徹底する
・コミュニケーションが円滑に取れる雰囲気づくりをする

 

それぞれ、どのようなことに気をつけたら良いかが知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

まとめ:これからの時代に求められるリーダーシップとは?

リーダーシップを発揮する社員の具体的な行動についてご理解頂けましたでしょうか?
近年、テクノロジーの進化によって、あらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、将来の予測が困難な時代になりました。企業経営においても、従来のように組織のトップや上司が常に「答え」を持っているわけではないのが現状です。
そのため企業においては、社員一人ひとりが自らリーダーシップを発揮する「自走型チーム」への変革が求められています。
今だからこそ知っておきたい、これからの時代に求められる「自走型チーム」のあり方や、その実現のために必要なリーダーシップについて、詳しく知りたい方はこちらから資料をご覧ください。

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なぜ、リーダーシップには多くの要素が必要なのか? 今、求められるリーダー像

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この記事を書いたコンサルタント

松村 聖也 (株式会社FCE)

東証一部上場コンサルティング会社にて、営業職に従事、北海道東北地区を担当し、トップセールスの成績を収める。
経営者・管理職・教員に対して、20,000名以上に対して研修を実施するとともに、年間約200社の経営相談を行う。外郭団体における役員としてトレーニング講師も務める。

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