2023.03.28 2023.08.09
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新人教育では上司コメントが肝心?新入社員がやる気を出す3つのポイント

新人教育では、上司がメンバーに対して「どんなコメントやフィードバックをするか」が、実はとても重要であるということをご存知でしょうか?
特に、昨今のZ世代と言われる新入社員は、新たな価値観や考え方を持っているので、特徴や傾向などを理解した上で、
従来の新人教育とは異なる観点をもってアプローチをする必要があるでしょう。
ここでは、新入社員がやる気を出す3つのポイントをご紹介いたします。

【目次】

新人教育で上司のコメントが効果的な理由

新人教育の効果を確認するために、日報と上司のコメントをセットにした報告形式を採る企業は数多くあります。しかしながら、「新人の反応がイマイチに感じる。報告させても内容が薄い」「日報も義務として書いている印象で、あまりやる気が感じられない」「やる気を出させたいが、コメントをどう書いたらいいのか良くわからない」とお困りの研修担当者の方も多いのではないでしょうか。

日報の提出とそれに対するコメントは、業務を締めくくる性質上、忙しい日常業務の中でも最終盤に回されがちです。そのため、ついつい優先順位を下げてしまったり、細かなチェックを忘れたりしてしまいがちです。しかし、うまく活用すれば世代を越えたコミュニケーションや、フィードバックのツールとして効果的に機能します。業務の舵取りはもちろん、上手く機能すればモチベーション向上にも役立つでしょう。

つまり、上司が新入社員にコメントを行う際には、示唆に富むアドバイスや相手をモチベートするコメントを投げかけることが大切なのです。

では、新人教育における上司のコメントが重要な理由について、詳しく掘り下げてみましょう。

 

【3つの理由】
(1)成長意欲の向上や成長促進に繋がるため
(2)心理的安心感に寄与できるため
(3)信頼関係の構築に寄与するため

 

成長意欲の向上や成長促進に繋がる

まず一つ目の理由は成長意欲の向上や成長促進に繋がるためです。人材育成の分野では、人が成長する環境創りには以下の3つが重要だとされています。

  • Why:なぜ成長が必要なのか? 成長する魅力やメリットが明確に伝えられている
  • How:どのような能力が評価され、どのような評価方法で評価が行われるかが明確になっている
  • What:周囲の期待や何が求められているのかが、本人にクリアに伝わっている

     

    業務面における細かなフィードバックのみならず、こうした点を繰り返し伝えていくことで、社員の成長を促すことができます。裏を返せば、成長するメリットが分からず、評価方法が不明瞭で、周囲の期待感が分からない状態であれば、社員の成長は難しいかもしれません。日々のフィードバックややり取りの中で、上記3点に関わる内容をつぶさに共有してみましょう。

     

    心理的安心感に寄与できる

    2つ目の理由は、心理的安心感に寄与できるためです。ここ数年、特にZ世代の若者に顕著な傾向として「他者からの見え方・見られ方」を気にする傾向が高いことが挙げられます。SNSが発達・浸透した中で生活を送ってきたこともあり、承認やフィードバックが当たり前にありました。さらに「批判される」ことを日常的に目にしてきたことで育まれた特徴と言えるかもしれません。

    近年の若者世代はこうした傾向を持つため、自分の見え方が不明瞭だと不安感を覚えたり、心理的ストレスを受けてしまったりする可能性があります。上司が適度にコメントをすることで、心理負荷の軽減に繋がります。また、悪い部分を伝えるだけでなく、改善すれば更に伸びる可能性や優れている点や良かったポイントも併せて伝え、明確に現在地を示してあげるようにしましょう。

     

    信頼関係の構築に寄与する

    3点目は、信頼関係の構築に寄与するからです。上司と部下の関係のみならず、人と人との信頼関係は相手とのやり取りの質や量で決まると言っても過言ではありません。日々のフィードバックを通じて、業務以外の話やプライベートなこぼれ話に繋がる可能性もあり、そうしたやり取りの中で信頼関係は徐々に育まれます。逆に、やり取りする回数も少なく、粗雑なコミュニケーションであれば、相手との信頼関係を作ることは難しいでしょう。

    一回一回は小さいものかもしれませんが、日々コメントを繰り返すうちに強い信頼関係に繋がっていくはずです。また、信頼関係が生まれ始めれば、業務の指示や連携、改善のアドバイスなどもスムーズに進みます。心理的安全性が保たれた状態で、健全な成長を促すという意味においても、上司のコメントは非常に影響力があるのです。

     

    昨今の新入社員(Z世代)の特徴とは

    さて、新人教育での効果的なコメントの方法を考える前に、まずはZ世代の特徴を確認しておきましょう。改めてZ世代をおさらいすると、2023年現在・10代後半~20代前半(1990年後半~2000年代生まれ)にあたる若者世代を指します。

    Z世代の若者は「デジタルネイティブ」とも呼ばれ、生まれた時からインターネットのある時代に育ちました。スマートフォン・タブレットといったデジタルデバイスを日常的に使いこなしつつ成長してきたため、SNSを通じて情報発信を行ったり、自身の考え方や感想を表明したりすることに抵抗がありません。また、情報収集やコミュニケーションについても同様で、自分の欲しい情報や同じ価値観の人物を見つけ出すことも得意な傾向にあります。

    加えて、情報の真偽を精査することが習慣づいている点も大きな特徴です。インターネットに氾濫する出処のはっきりしない情報や初見の情報について検索し、その結果から真偽を判断し、自分の中で結論を出すことを日常的に行っています。そうして得た判断基準に合致しないものは、良い意味でも悪い意味でもばっさりと切り捨てるような大胆さも持っています。彼らの価値観にもそうした生育環境は反映されており、以下のような特徴が挙げられます。

     

    • 承認欲求:他者からのSNS上での反応や評価を気にする傾向
    • 効率性重視:デジタル技術を通じた効率化が進み、コミュニケーションの無駄を嫌う傾向
    • 自分らしさの重視:多様な意見・情報や多様性に触れる機会が多いため、自身の価値観や感想を大切にする

     

    一方で、誤解を招く内容や誤った情報の発信、公序良俗に反したり雰囲気を壊すような発言など「悪目立ちによって総叩きに遭う」経験、いわゆる「炎上」の例に数多く触れてきていることから、確証の持てない意見の表明をためらったり、感情を引っ込めたりするような一面も散見されます。

    ここまでの性質をまとめると、業務面においては「指示以上のことには手を出さない」「報連相をする習慣がなく、検索などをして独自のやり方で業務を進める」といった傾向が出やすい可能性があります。また対面でのコミュニケーション経験が少ないため、心を開いてくれるまでに時間を要したり、対面でのストレス耐性が求められる営業業務などは苦手とする方が多いかもしれません。

    こうした内向性やある種の指示待ち的な姿勢を変え、主体性を持ってもらうためには、上司コメントを通じて、考えるきっかけを作ったり、自発性を持つことで生まれるメリットを説明したりするなど、従来の新人教育とは異なる観点が求められるでしょう。

     

    新人教育でコメントをするポイント

    では、新入社員へのコメントはどのようなことを考慮すれば良いのでしょうか。

    コメントのポイントとして、上記で述べた「自分らしさの重視」「承認欲求」「効率重視」という代表的な3つのキーワードを軸に、「新入社員が上司とのコミュニケーションにどのようなことを求めているか」を言い換えてみましょう。

     

    【3つのポイント】
    • 承認欲求:自分の方法論・考え方・感想を認めてほしい。評価し、同意してほしい
    • 効率重視:外形的でおざなりなルーティンにせず、双方向的に意思疎通したい
    • 自分らしさの重視:新入社員という一括りでなく、個人としての性格・能力あるいは資質を見てほしい

     

    つまり、この3つの要求を満たすコメントができれば、新入社員のモチベーションを上手く高められるでしょう。そして、これらの点を踏まえると、コメントをするポイントは以下の3つになります。

     

    個人へのコメントであることを強調する

    新人教育で達成するべき課題として、業務理解の向上が挙げられます。

    確かに業務への理解を深めさせることは重要ですが、「自分らしさ」を重視するZ世代の新人に対しては、個人に対するケアもそれ以上に大切です。例えば、新入社員を集めて行う研修などで、発言する機会の多かった新人には「率先して発言があり、やる気が伝わりました」と伝え、もし終始緊張して中々発言できない様子の新人がいたのであれば、「焦らなくて大丈夫です、リラックスしましょう」といったように、小さなことでもその社員個人をきちんと認識していたと共有しましょう。

    また、周囲と比べて教えた内容の理解度に差があるようであれば、コメントでフォローアップの意向を伝えることもできます。他の業務に忙殺されていてなかなか内容を吟味できない場合もあるかもしれませんが、本人の書いた日報の内容に関わらず「みなさんお疲れさまでした。明日もよろしくお願いします」など、全員に対して同じコメントを送る・定型文で済ませるといったやり方は避けましょう。

     

    意識して褒めるコメントを入れる

    自分の意見をどの程度表出していいものか測りかねている新人に対し、上司からのコメントが画一的で無味乾燥なものだったり、批判的なものばかりだったりすると、新入社員の「承認欲求」は満たされません。結果的に提出される日報の内容も萎縮し、次第に形骸化してしまうでしょう。

    そのため、新人教育の段階から褒めるコメントを心がけ、日報では臆せず率直な意見・改善案を述べることを習慣化させましょう。早い段階で習慣づけておくことで、仕事にも主体的に取り組む姿勢が醸成されます。また、こうした関係性を作っておくことで、円滑なコミュニケーションが図れるようになり、業務上でも良い効果を生み出せるようになるはずです。

    過度に持ち上げる必要はありませんが、「結果的に、相手を褒めることで新入社員の自己実現の手助けになる」ということを念頭に置いてコメントしましょう。

     

    コメントを一方通行にしない

    SNSなどの双方向的なコミュニケーションツールをごく自然に扱ってきたZ世代は「テキストをただ読み合わせるだけ」といった一方通行の情報伝達や、コミュニケーションを非効率と感じる傾向があります。また、そもそも日報という仕組み自体が“無駄なもの”として捉えられてしまう可能性があります。

    こうしたリスクを回避するためには、書かれた内容についてしっかり目を通し、反応を返すことが大切です。日報とそれに対するコメントがただのルーティンワークでなく、上司との報・連・相のコミュニケーションツールとしての意義があることを、まず認識してもらうことが大切です。

    「きちんと見ている」という意識を持ってコメントをし、新入社員一人ひとりに対し適度に「見られている緊張感」を持ってもらえるよう心がけましょう。

     

    新人教育でコメントをする際の注意点

    これまで新人教育の効果を上げるポイントについてご説明してきました。

    ただ、こうしたコメントをする際には効果を意識するだけでなく、注意しなければならない点もあります。特に重要なのが個人重視の「褒める」コメントについてです。

     

    褒める内容は、あくまで研修や業務にかかわる内容について着目したコメントに留めましょう。褒めようとするあまり「髪型が似合っていた」「使っている文房具のセンスが良かった」といった、業務外のことへの言及は謹んで避けるべきでしょう。評価点がなく苦し紛れにひねり出したコメントだと見透かされてしまうばかりか、日常業務における日報の優先度が低いと捉えられてしまえば、振り返りのツールとしての有効性が薄れてしまいます。承認欲求を満たすことを優先するあまり、あまりにも業務内容から離れたコメントは、最悪の場合ハラスメントだと認識されてしまう可能性もあるため、注意が必要です。

    また、毎日同じような点を指摘したり褒めたりするのではなく、一度指摘した改善点や設定された目標に対して、その社員がどの程度進歩しているのかをわかりやすく伝えましょう。前回の評価時点と比較して具体的にどういった部分が伸びており、逆にどの部分に力を入れたり改善したりする必要があるのか、上司・教育担当としての見解をストレートに伝えることが重要です。新入社員自身が業務に臨む心構えを作り、より深く振り返りをする手助けとなれれば、間接的に教育効果を上げることに繋がります。

    そういった意味では婉曲な表現や抽象的な表現も、特に改善点を指摘するコメントにおいては避けるべきです。自身で考えることを促したり、自尊心を傷つけないよう配慮したりするのはもちろん大事ですが、あくまで伝えるべきことを伝えることが先決です。場合によっては、目指すべき具体的な数値目標や解決策を、直接提示するほうが効果的な場合もあるでしょう。

    そして、教育カリキュラム自体も、日報で得られた意見をある程度反映して進め方を修正していく必要があります。「正当な所感を書くことできちんとフィードバックと改善が行われるのだ」という認識を新入社員に持ってもらうことは、今後のモチベーションの維持にも大きく影響します。

     

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    株式会社FCE (編集部)

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