2021.03.24 2023.08.09
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日報の書き方│作成の目的やポイント、具体例・テンプレート

【目次】

 

企業などで働いている社会人の中には、上司から「日報」を書くように指示された経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。日報はさまざまな組織で活用されていますが、毎日書き続けることを面倒に感じる方がいらっしゃるかもしれません。

その日に発生した出来事や生産数・販売数などを記録した日報は、情報共有の手段として有用です。惰性で書き続けるのではなく、チーム全体の生産性を向上させる目的で積極的に作成するためには、日報の意義を正しく理解することが不可欠です。

そこで本記事では、日報を作成する目的や書き方のポイントについて解説し、具体例やテンプレートもご紹介いたします。

日報を作成する目的

日報とは、会社や官公庁といった組織に所属するメンバーが、ほかのメンバーに対して「1日に起こった出来事」を伝えるために作成する記録です。個人が自由に書く「日記」とは異なり、業務にとって必要な事項を上司や同僚と共有するために作られます。

日報を書く目的は、生産性の向上です。上司や同僚の一人ひとりに口頭で1日の出来事を伝えるのは多大な時間や労力がかかりますが、日報に記載すれば1回の作業で情報共有が完了します。また、文字記録として残すことによって、業務の問題点を浮き彫りにすることが可能となり、改善方法の提案にもつながります。

上司や先輩へ共有するため

日報は自分自身の備忘録として作るものではありません。ほかのメンバーに情報を共有するために作成するものです。他人が読んでも理解できるように文章を書かなければなりません。上司や同僚が日常的に使用している略語なら問題ありませんが、自分しか理解できない略語は使わないようにしてください。

また、なるべく主語や述語を省略せずに書くことも大切です。「ビジネス文書」であることに留意し、文学的な表現を排し、簡潔に記載しましょう。

1日を振り返り自身が成長するため

日報はほかのメンバーに情報を共有するために作成するものではありますが、執筆作業の中で1日の行動を振り返ることになり、自分自身が成長することにもつながります。

文字にすることで、それまで見えていなかった問題点が浮き彫りになることがあります。日報を書かなければ、問題点に気が付かないまま何カ月も、場合によっては何年も経過してしまうことになりかねません。問題点の早期発見や改善策の迅速な実施を通じて自分が成長していくためにも、日報という仕組みは必要です。

 

 

日報の内容

ここからは、日報に記載する一般的な内容について説明していきます。

今日の目標

まず、その日の目標を記載しましょう。工場で生産に携わっているのであれば生産数や不良品の割合、営業職であれば契約件数という具合に、なるべく数値で示すように心掛けてください。

なお、数値目標は大きすぎても小さすぎても効果がありません。簡単に達成可能な目標では成長につながりませんし、不可能な目標だと途中で諦めてしまうことになりかねません。努力すれば達成できそうな数字を掲げることが大切です。

業務内容・結果

次に、その日の業務内容や結果について記載してください。素早く目を通せるように、冗長な表現を避け、簡潔に記載しなければなりません。

営業職であれば、訪問先の数や名称、受注件数、受注確率(受注件数÷営業件数)、売り上げ目標の進捗率などについて書いてください。工場で生産に従事しているのであれば、「不良品の発生を〇〇個(□%)以内に抑えた」などと記載しましょう。

なお、事務職のように結果を「数値」として表現しにくい業務内容の場合、無理に数字を出す必要はありません。「顧問弁護士と相談して、〇〇の解釈について明確化できた」などと記載してください。ただし、「〇人分の書類の内容を審査した」などと数値化できる内容については、可能な限り数字を出しましょう。

所感

「所感」とは、「心に感じたこと」という意味です。ただし、「感想」と異なり、「自分の意見」を加える点に留意してください。日報はビジネス文書であり、感想文ではありません。

単に「大変だと感じた。」と記載するのではなく、「人数が少なくて、〇〇の作業に時間がかかった。2~3名追加人員が欲しい。」という具合に改善策の提案が求められます。

明日の目標

最後に、明日の目標を設定しましょう。営業職や技術職であれば、「〇件、受注する」「システムの処理速度を1%改善する」という具合に数値目標を立てることが望ましいです。事務職のように数値目標を立てにくい職種の場合は、「補助金の申請用書類を作成する」「申請方法で不明確な点を役所に問い合わせる」という具合に、やるべき目標を立てましょう。

なお、業務は1日で達成できるものばかりではありません。その場合、業務を何段階かに分割し、1日で達成できそうな目標を設定してください。

日報を書くときのポイント

以下、日報を書く際のポイントについて説明していきます。

箇条書きで簡潔にまとめる

日報はビジネス文書です。冗長な表現は避け、箇条書きを使うなどして簡潔にまとめてください。

一般的に、文体は敬体(「~です/~ます」調)ではなく、常体(「~だ/~である」調)で書かれます。ただし、職場によっては敬体が慣習になっている可能性もあります。その場合は、上司や先輩の書き方に合わせておくほうがよいでしょう。

業務中にこまめにメモを取っておく

業務中は、こまめにメモを取っておく習慣を付けましょう。1日の業務終了後に日報を書こうとしても、頭の中の記憶だけで作成することは困難です。

ビジネス用の手帳などを携帯し、「何時何分に〇〇社を訪問」「上司から△△をするように指示を受けた」「××から~~と連絡あり」という具合にメモを残しておくことをおすすめします。なお、必ずしも紙の手帳を使わなければならないわけではなく、スマートフォンやタブレットでメモを取ってもかまいません。

5W2Hを意識し、定量的に表現する

日報を作成する際には、「5W2H」を意識した文章を書きましょう。5W2Hとは、以下の要素を意味します。

  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • Who(誰が)
  • What(何を)
  • Why(なぜ)
  • How(どのように)
  • How much(いくらで)

特に最後のHow much(いくらで)という要素が重要です。「費用に関する情報」を明確にしなければ、ビジネスは成り立ちません。日報を書く際は、これらの構成要素を文中に入れるように心掛けてください。

なお、When(いつ)、How much(いくらで)といった定量的に表現できる要素は、可能な限り「数字」を示しましょう。「午前中に」「高額」というような曖昧な表現ではなく、「AM10:00に」「1,000万円」という具合に明確な数字を示すべきです。

テンプレートを利用する

「5W2Hを意識して一から日報を作成するのは大変」と感じる方は、テンプレートを利用しましょう。

ただし、あくまでもテンプレートは一般的な業務内容に合わせて作られているものなので、自分の業務に適していないこともあります。その場合はテンプレートをそのまま利用するのではなく、適切にカスタマイズして使ってください。

 

 

日報の具体例・テンプレート

ここまで、日報の一般的な書き方・ポイントについて説明してきましたが、実際には業種や職種、具体的な仕事内容によってさまざまな書き方があります。営業職と事務職、社長と新入社員では、日報の書き方に違いがあって当然です。

なお、数値で表現できる箇所については、なるべく数値で記入することを心掛けましょう。定量的に記載されていれば、業務内容の評価をしやすくなります。ただし、数値で表現できない業務内容もあるので、絶対というわけではありません。

以下、営業職、事務職、新入社員の場合について、具体例・テンプレートをご紹介いたします。

営業職の日報テンプレート

営業職の場合、日々、クライアントからの要望を直接耳にしているのではないでしょうか。しかし、事務職や研究開発職などは顧客と直接接する機会が少ないため、「こういうサービスが欲しい」とか「この商品の、ここを改善してほしい」といった情報を把握しにくい可能性があります。

顧客の「生の声」に接する機会が多い営業職は、入手した情報をほかの部門・職種に共有することが求められます。以下は、営業職に適した日報のテンプレートおよび記入内容の例です。

・今日の目標:契約を〇件獲得する

・業務内容:訪問先(午前〇件、午後〇件)、商談内容(10:00~10:30、〇〇社、△△について)

・受注確率:受注した件数÷営業をかけた件数

・今月の売り上げ目標の進捗率:今日までに確定した売上金額÷今月の目標売上金額

・顧客の声:苦情、要望など(「多言語に対応してほしい」など)

・悩み・改善策の提案:海外の顧客が表記言語を理由に購入しないので、日本語以外も併記すべき

・明日の目標:契約を〇件獲得する

このまま使うのではなく、具体的な業務内容に合わせて自由にカスタマイズしてください。営業の中で感じたことを社内全体に共有すれば、ビジネスチャンスを最大限に活かすことが可能です。

事務職の日報テンプレート

事務職は営業職や技術職などを支援する立場であり、社内のさまざまな部門と横断的に接する機会が多いという特徴があります。また、社内にいる時間が長く、問題点に気が付くチャンスに恵まれていることも確かです。

自分に与えられた業務を正確に遂行することも重要ですが、それだけではなく社内の問題点を指摘し、改善案を提案すれば、会社の成長に貢献していけます。以下は、事務職に適した日報のテンプレートおよび記入内容の例です。

・今日の目標:〇〇の場合について、正しい経理の方法を知る

・今日の業務内容:顧問税理士に相談

・学んだこと・気付いたこと:〇〇について、記帳の方法が分かった

・悩み・改善策の提案:経理担当者が2名だけなので、1~2名程度増やしてほしい

・明日の目標:領収書・明細を100枚チェックする

なお、事務職であっても、法務、経理、労務など、さまざまな業務内容があります。法務担当と経理担当では書き方が異なって当然です。自分の業務内容にとって最適な形にカスタマイズして使いましょう。

新入社員の日報テンプレート

新入社員は、業務日報を通じて上司や同僚と積極的にコミュニケーションを図ってください。配属先だけではなく、ほかの部門に自分のことを知ってもらえるケースもあります。

・今日の目標:研修を通じて社会人としてのマナー・常識を身に付ける

・今日の業務内容:ビジネスマナー研修を受けた(電話応対、名刺交換など)

・学んだこと・気付いたこと:正しい敬語の使い方を知った

・悩み・改善策の提案:上司や先輩のように成長できるのか不安だが、ひとつひとつ覚えていきたい

・明日の目標:研修でプレゼンテーション能力を磨く

・フィードバック:上司や先輩社員からの一言

なるべく前向きな方向で締めくくりたいものですが、不安や悩みがあるのであれば正直に書くことをおすすめします。新入社員の場合、上司や先輩から悩みや不安を解消するようなフィードバックをもらえることが多いので、それを参考にして会社に貢献できる人材に成長していきましょう。

まとめ

日報とは、1日で発生した出来事を組織の構成員(上司や同僚)と共有するための手段です。個人の日記や感想文ではありません。ビジネス文書なので、文学的な表現は使わず、5W2Hを意識して簡潔に書きましょう。

なお、常にメモを取る習慣を身に付けておけば、日報を書く際に役立ちます。雑多な情報の中から重要な事柄だけを選別し、箇条書きにすることを心掛けてください。文字にしなければ気が付かないことも多いので、日報の作成は自分自身の成長にもつながります。

日報の構成要素は、一般的には「今日の目標」「業務内容・結果」「所感」「明日の目標」です。テンプレートを使えば、日報を比較的容易に作成できます。ただし、テンプレートをそのまま使うのではなく、業務内容に合わせてカスタマイズしましょう。

 

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この記事を書いたコンサルタント

FCEトレーニング・カンパニー (編集部)

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