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  • HRレポート
  • 2021.03.26

人事評価制度のつくり方 ~導入時のよくある失敗事例とは?~

【目次】

「人事評価」は、給与や賞与の支給額、昇進などを決める根拠になる重要な制度です。しかし、「どのような仕組みにすべきか分からない」というお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

なお、人事評価制度は、必ずしも「上司が部下を評価する」という一方的なものではありません。近年は、「部下などが上司を評価する」という仕組みを取り入れた「360度評価」と呼ばれる手法も登場してきています。

本記事では、人事評価制度の導入を検討している方に向けて、人事評価制度の種類や、明確な仕組みにすべき理由、失敗事例、失敗しない制度のつくり方について徹底解説いたします。

人事評価制度とは?どのような種類があるのか

人事評価制度とは、会社における従業員の位置付けを行なって、公正に評価し、処遇を実現する仕組みです。一般的に、人事評価制度は、以下に示す3つの要素から構成されています。

・等級制度

能力や職務内容をもとに「等級」を設定し、従業員の社内での位置付けを決める仕組み

・評価制度

従業員の能力や職務上の成果を評価する仕組み(「人事考課」や「査定」とも呼ばれる)

・報酬制度

等級や評価結果に基づき、従業員の報酬を決定する仕組み

これらは互いに関連しています。例えば、等級の昇格や降格は評価制度によって決まり、報酬は等級制度や評価制度によって決定されます。

なお、評価制度は、毎日の業務を評価する際の基準となるものなので特に重要です。評価制度の種類としては、「年功評価」「能力評価」「職務評価」「役割評価」の4つが代表例として挙げられます。以下、それぞれについて詳しく説明していきます。

年功評価

年功評価では、年齢や入社年度、勤続年数、学歴、経験といった「年功」を対象として評価が行われます。評価項目がシンプルで管理に手間がかからないという特徴があり、昔から使われ続けてきました。

しかし、年齢などをベースに評価が決まってしまうため、若年層に不満が蓄積されたり、新しいチャレンジをする意欲が抑制されたりする点がデメリットです。年功評価はしばしば、「変化が激しいビジネス環境に適していない」と指摘されます。

能力評価

能力評価では、従業員の「能力」を対象として評価が行われます。経営環境の変化に対応しにくい年功評価に代わる評価制度として、多くの企業が導入しています。

ただし、企業の中には「能力評価」と称していても、結果的に年功評価が維持されたままになっているケースも見受けられます。

これは、制度設計が原因です。「勤続年数によって能力が向上していく」という制度設計にすると、事実上、年功評価と変わらなくなってしまう可能性がある点に注意しましょう。

職務評価

職務評価では、従業員に課せられている「職務」(「営業職」「技術職」といった職種や「係長」「課長」といった職位など)の価値によって評価が行われます。年功評価や能力評価との違いは、一定の職務に就いていなければ評価されないという点です。

職務評価は、職務の内容、権限、責任、必要な知識や技術などを詳細に定めた「職務記述書」に基づいて実施されます。

しかし、職務記述書の作成は膨大な作業量が必要であり、経営環境の変化が激しい状況では書き換えコストも無視できません。

役割評価

役割評価では、個々の従業員の「役割」に基づいて評価が行われます。一般的に、役職者に対してのみ導入される仕組みです。

多くの企業では、係長や課長といった職位に対して求められる「成果責任」が役割として位置付けられています。成果責任とは、会社の業績に対する貢献度を意味します。

職務評価では、職務記述書で定められている事項を果たせば評価され、一定の職務給が支払われます。しかし、職務を拡大したり、会社の業績拡大に貢献したりする意欲が欠如するという問題が指摘されるようになりました。その欠点を補うために登場したのが役割評価です。

明確な人事評価制度をつくるべき理由

人事評価制度をつくる際は、項目や基準を明確にしなければなりません。以下、明確にすべき理由について説明していきます。

評価者の違いによる評価のバラつきを防ぐ

評価者も人間である以上、不明確な基準で評価を行うとバラつきが生じてしまいます。「同じような仕事をしたにもかかわらず、ある従業員は高い評価をされ、別の従業員は低い評価をされる」というような事態が生じると、従業員に不満が溜まるかもしれません。

人事評価は報酬の金額を決定するものであるため、可能な限り評価者の違いによる評価のバラつきを少なくしましょう。そのために、あらかじめ評価する項目や基準を明確化し、評価者全員に共有しておくことが不可欠です。

マネジメントがしやすくなる

明確な人事評価制度をつくれば、マネジメントをしやすくなります。各従業員の経験、スキルなどを一元管理することによって、適材適所を実現できます。

また、客観的な視点から「強み」や「弱み」を正確に把握することになるため、従業員のスキル向上といった人材育成計画を立案する際に、人事評価で使った資料を活用可能です。

従業員のモチベーションアップ

明確な基準で人事評価が行われると、従業員のモチベーションが向上します。

基準が不明確な場合、どのような理由で自分の評価が下されたのかが分かりません。納得を得られないまま業務を続けていくことは、会社に対するエンゲージメント(愛着心、思い入れ)を低下させる結果につながってしまいます。

従業員が主体的に「会社に貢献したい」という気持ちになれる環境を整えるためには、明確な人事評価制度が必要です。

企業理念やビジョン浸透に活用できる

創業者や経営者によって掲げられた理念やビジョンは、企業のあり方の根本を示すものです。経営者や従業員にとって重要な指針となるものなので、ビジネスを行う際は常に頭の片隅に入れておくべきでしょう。

明確な人事評価制度を構築し、項目に企業理念を組み込めば、従業員が内容を理解する機会を得られます。また、昇給や昇格に結び付いていることによって具体的な行動へとつながり、ビジョンの浸透に役立ちます。

よくある人事評価制度の失敗事例

以下、よくある人事評価制度の失敗事例をご紹介します。

経営戦略に紐付いていない

失敗事例のひとつとして、経営戦略に紐付いていない人事評価制度が挙げられます。人事評価制度の中身が経営戦略とズレがある場合、企業の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

人事評価制度をつくる際は、経営戦略の一環として経営者が方向性を出し、「従業員にどのように成長してほしいのか」を具体的に提示すべきです。方向性を誤ると、企業の業績ダウンにつながりかねません。

処遇制度と連携できていない

また、処遇制度と連携できていない人事評価制度も失敗といえます。人事評価結果が処遇に連動しなければ、従業員のモチベーションが上がらないでしょう。

「よい評価を受ければ、報酬や昇進の面で好待遇を受けられる」という仕組みを構築しなければ、会社の業績に悪影響が出かねません。

部署や職位に応じた人事評価制度になっていない

そのほか、部署や職位に応じた人事評価制度になっていないケースも失敗事例として挙げられます。

例えば、間接部門(事務職)はプロセスを重視し、営業部門や管理職は成果を重視するほうがよいでしょう。

ただし、「完全にプロセスを評価せず、成果のみにする」など極端な割合にすることも問題です。営業職であっても、ある程度はプロセスを評価するなどバランスをとってください。

時代に合わせて更新できていない

長い歴史を有する会社では、昔から続いてきた人事評価制度が更新されず、時代に合わなくなっているケースがあります。

ビジネスの環境は時代とともに移り変わるものです。人事評価制度を時代に合わせて更新しなければ、生き残ることが困難になるでしょう。

失敗しない人事評価制度のつくり方

ここからは、失敗しない人事評価制度のつくり方について説明します。

導入までのスケジュールを組む

まず、導入までのスケジュールを組みましょう。そして、なるべく早く社内に周知徹底すべきです。評価者と評価対象者の双方が、しっかりと仕組みを理解する時間を確保しておかなければなりません。

準備が不足した状態でスタートすると、運用が失敗する可能性が高まります。

評価基準を明確にする

次に、評価基準を明確化しなければなりません。従業員が「企業から何を期待されているのか」を把握できるように、明確な基準を策定してください。

一般的に、評価基準は以下の3つに分類されます。

・成績評価

契約件数など達成した成果を基準に評価

・能力評価

スキルや経験、知識などを基準に評価

・情意評価

仕事に対して取り組む姿勢、勤務態度などを基準に評価

職種などに応じて、これらをバランスよく組み合わせて明確な基準を策定しましょう。

評価項目を定める

また、評価項目を適切に定めることも大切です。策定した評価基準を参照しながら、具体的な評価項目を丁寧に決めていきましょう。その際、コンピテンシー(高い業績を上げている従業員の行動特性)を参考にすることもひとつの手段です。

評価すべき項目が曖昧な状態では、評価担当者によって評価の差が出てしまう結果となり、従業員の不満が溜まってしまいます。

適切な評価手法を選ぶ

適正・公正な人事評価を実現するためには、評価方法に工夫が必要です。評価手法として「MBO評価」「360度評価」「コンピテンシー評価」の3つをご紹介します。

MBO評価

MBO評価とは、目標管理制度(MBO)を導入して評価を行う手法です。MBO(Management by Objectives)とは、「目標による管理」という意味です。

MBOでは、従業員と企業の目標の「方向性」を一致させてから、従業員各自が自分自身で考えて具体的な目標を設定し、評価者との間で合意を形成します。評価は、設定した目標の達成度によって行われます。

押し付けではなく主体的・自律的に業務を遂行できるため、モチベーションを保ちやすく、結果的に企業の成長につながります。

360度評価

360度評価とは、特定人物だけが評価を担当するのではなく、上司や同僚、部下、他部門の人員、取引先、顧客などから幅広い意見を集めて評価を行う手法です。

「好き嫌い」といった主観を排し、公正な評価を実現することが可能であり、従業員の納得が得られます。

コンピテンシー評価

コンピテンシーとは、「高い業績・成果につながる行動特性」という意味です。さまざまな研究により、業務において高い成果を出す人物は行動特性に共通性があることが判明しています。

コンピテンシー評価では、高業績者の行動様式の分析に基づいて職務ごとの「理想的な行動様式」をモデル化し、そのモデル通りに行動しているかどうかによって評価されます。

評価者と評価対象者を決める

人事評価制度を構築する際は、評価者と評価対象者を決めなければなりません。直属の上司一人のみが評価に関わると、「好き嫌い」というような主観の影響を強く受けてしまいます。可能な限り、複数の評価者を設定してください。

また、「360度評価」を取り入れ、上司だけではなく、同僚や部下、ほかの部署の人員、取引先、顧客などから意見を求めることも検討してみましょう。

導入後は人事評価を必ずフィードバックする

人事評価制度は「導入したら、それで終わり」というものではありません。

運用後にフィードバックを行うことが大切です。改善すべき点を発見し、修正することによって、人事評価制度をより良いものに変えていけます。

まとめ

人事評価制度は、給与や賞与、昇進などを左右する仕組みであり、従業員にとって重要なものです。エンゲージメント(愛着心)に大きな影響を与えるため、適切に設計しなければなりません。

よい人事評価制度を構築すれば、従業員の意欲を引き出すことが可能となり、企業業績の向上につながります。そのためには、項目や基準を明確化し、納得のいく評価を得られる仕組みにすることが大切です。

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この記事を書いたコンサルタント

FCEトレーニング・カンパニー (編集部)

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