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  • HRレポート
  • 2021.08.23

組織拡大を阻む「50人の壁」とは?対策ポイントや理念浸透のコツ

事業が軌道に乗って社員が増えてくると、経営トップ1人で全社員を管理することが難しくなります。特に社員数が50人を超える頃には、「50人の壁」と呼ばれる経営課題に直面するケースが多いので、あらかじめ対策を講じておきましょう。
本記事では、組織の規模別のメリットや課題、組織を拡大する際に注意すべき点、直面する壁を乗り越えるために必要な施策について解説し、具体的な成功事例もご紹介します。

【目次】

組織拡大で何が起きる?規模別のメリットと課題

ベンチャー企業やスタートアップ企業は、「社長と気心の知れた仲間の数名で事業を開始する」というケースが数多く見受けられますが、事業が軌道に乗るとメンバーが30人、50人、100人…と徐々に増えていくのではないでしょうか。

社員が増えると経営者1人で全ての事項を把握できなくなり、「30人の壁」「50人の壁」「100人の壁」と呼ばれる問題に直面することがあります。経営者は、組織の規模によってメリットや課題が異なることを把握し、社員の人数に適した手法でマネジメントをしなければなりません。

以下、「30人以下の小規模組織」「50人までの組織」「50人を超える組織」について、規模別のメリットや経営課題を説明していきます。

 

小規模組織の場合

30人以下の小規模組織においては、社長が社員一人一人とコミュニケーションを取り、業務の進捗状況を把握したり指示したりすることが可能です。社員同士の関係がフラットなのでメンバーに一体感があり、トップのメッセージが末端社員にまで直接届く組織構造になっているため、スピード感を持って意思決定を行えます。

固定費が安いため利益率が高く、数名のハイパフォーマンスな社員が活躍するだけでも事業が成り立つこともメリットといえるでしょう。

ただし、小規模組織では人的リソースに余裕がないため、事業を多角化することが困難であり、「選択と集中」による一点突破でビジネスを展開していかなければなりません。また、「誰かが欠けると仕事がストップすることがある」という点も、小規模組織が抱えるリスクです。

なお、少人数でこなせる仕事量には上限があるため、場合によっては依頼を断らざるを得ない状況に陥り、売上が一定水準で頭打ちになりやすい傾向が見受けられます。さらに、ギリギリの人数で組織を動かしているため「即戦力になる人材」の確保が求められ、新卒者を採用しても時間をかけて育てていく余裕がないことが多いです。このことも小規模組織の課題となっています。

 

〜50人規模の場合

メンバーが30人を超えるとトップの目が行き届かない部分が増加するため、マネージャーの設置が必要になります。管理職に負荷を分散できるようになることで、結果的にリソースに余裕が生まれ、若手の教育に取り組むことが可能になります。

新規販路を開拓したり複数の事業を営んだりすることが容易になり、企業経営の継続性が高まることも30人~50人規模の組織のメリットといえるでしょう。

 

一方、社長と末端社員との間に中間管理職が入り込むことにより、意思決定のスピード感が若干失われることは否めません。トップが直接指示しない事柄が増えるため、マネージャーの質が組織全体のパフォーマンスを決めることになります。マネージャーが企業理念をしっかりと理解していないと、組織が上手く回らなくなるという点に注意が必要です。

なお、固定費が増加し、数名の飛びぬけた社員の活躍だけでは企業を維持することが困難になるため、社員全体のパフォーマンスを均等に向上させていかなければなりません。また、30人を超える規模になると、個々の社員の会社に対する影響力が薄れてしまうため、「業務に対するやりがいを感じにくい」という問題の発生にも留意しましょう。

 

50人を超える規模の場合

社員が50人を超える規模になると、複数の事業に進出して多角化経営を実現できます。企業としての安定性が一段と増し、若手社員の採用や教育にも力を注ぐことが可能になるでしょう。会社の知名度が向上することにより、優秀な人材が集まりやすくなる点もメリットです。

なお、属人的経営ではなく、成熟した「組織」として業務を回す仕組みが構築されることで、特定の人物への負荷集中を防げるようになり、誰かが欠けても業務が滞ることがなくなります。

ただし、固定費やマネジメントコストが増大する点が、50人を超える組織の課題として挙げられるでしょう。また、経営トップの声が末端まで届きにくくなるため、ビジネスのスピード感が低下します。

そのほか、分業化が進むことによって「縦割り構造」が形成され、各社員の能力が狭い分野に特化し、「他の業務ができない」という状況が発生するリスクも。社長と末端社員の間にマネージャーが入るため、会社としての一体感が薄くなることがある点にも留意しなければなりません。

 

組織拡大において注意すべき点とは?

組織の規模を拡大していく際には、さまざまな点に注意する必要があるといえるでしょう。

以下、社員が50人を超える際に発生しがちな「50人の壁」と呼ばれる問題を、組織拡大に伴う社員の心理面の変化を説明してから、経営理念が浸透しなくなる原因について解説します。

 

いわゆる「50人の壁」問題

社員が50人を超える規模になると、いわゆる「50人の壁」と呼ばれる問題が発生します。なお、30人を超える規模になる際に「30人の壁」と呼ばれる問題も存在するため、先にそちらから説明します。

 

社長と気心の知れた数名の社員で事業を開始してから、メンバーがおよそ30人に達するまでの期間であれば、仲間・チーム・集団内部の「阿吽の呼吸」で経営を続けていくことも可能でしょう。しかし、30人を超えると、「組織」への脱皮が必要です。

組織の規模が30人までなら、社長1人で社員全員を管理することも可能です。しかし、30人を超えると処理能力をオーバーするため、社長と末端社員との間にマネージャーやリーダーを配置し、組織を支えてもらわなければなりません。

 

「30人の壁」とは、それまでの「社員同士がフラットな関係で社長が直接指示する組織」から「社長と末端社員の間に中間管理職が入り込む階層構造」への変化が上手くいかない問題を指します。例えば、創業当時から在籍している社員と後から入ってきた社員との間に感覚のズレがあったり、経営者の考え方(経営理念)が的確に伝わらなかったりすることが経営課題として浮上してきます。

 

そして、社員が50人を超えるようになると、ピラミッド型の組織への移行がさらに進行し、組織内の階層構造が深くなっていきます。この過程で重要になるのが、マネジメントポリシーや人事制度の整備です。また、管理職のマネジメント力も引き上げなければなりません。

 

そのほか、以下のような「法令上の義務」が課される点にもご留意ください。

・衛生委員会の設置

・衛生管理者の選任

・産業医の選定

・健康診断報告書の提出

・障害者の雇用

・休憩室の設置

・ストレスチェックの実施

 

労働基準監督署に各種報告書を提出する義務が課されるため、あらかじめ事務を担当する人材を確保・育成しておきましょう。ちなみに障害者雇用率は、障害者雇用促進法43条1項において「43.5人につき1人以上」とされており、厳密には44人を超える時点から対応が必要です。

参考:厚生労働省「障害者雇用のルール」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html

 

このような社員が50人を超える規模になる際に直面する諸課題は、「50人の壁」と呼ばれます。

 

組織拡大に伴う変化とは?

社員が多くなることで組織に構造的な変化が生じますが、社員の心理面にも変化が生じます。例えば、創業当時からの社員と後から入社してきた社員との間で意見や価値観が衝突し、組織風土が悪化することがあるという点に注意しましょう。

また、社長自らが社員一人一人と密なコミュニケーションを取れなくなるため、仕事上の悩みや不満に気が付くことができなくなり、離職率が増加するケースもあります。

さらに、創業時とは異なり全ての社員が「社長の熱い気持ちを理解している仲間」というわけではないため、「経営者の考え方(経営理念)が社内に浸透しない」といった問題も起こります。

 

なぜ経営理念が浸透しなくなるのか?

経営理念が浸透しなくなるのは、社長1人だけで多数の社員全員を管理しきれないことが根本的な原因です。マネジメントポリシーや人事制度を整備せずに規模を拡大してしまうと、組織運営が立ち行かなくなります。

組織のメンバーが50人を超えると、管理職が「経営者の考え方(経営理念)を咀嚼して伝える」という役割を果たすことが重要です。しかし、マネージャーが単なる上意下達の「伝書鳩」のような存在になっていて、企業文化が充分に浸透していないケースがあります。その場合は、末端の社員まで経営理念が伝わらないでしょう。

 

組織拡大で直面する壁を乗り越えるために必要なこととは?

組織の規模が拡大すると、社長1人では社員全員と直接コミュニケーションを取ることが困難になります。そのため、経営者の代わりにマネジメントを実行できる人材を確保し、経営理念の浸透や企業ブランディングを図ることが求められるでしょう。

 

中間マネジメント層の強化

組織の規模が50人を超えるようになると、複数の事業部が設置されたり、組織の階層構造が多重化したりします。そうなると、社長1人のリーダーシップで全社員を統率しきれなくなるため、「中間マネジメント層の強化」が重要になるのです。

経営者は中間マネジメント層に考え方をしっかりと伝えて、末端社員に対しては管理職(部長や課長など)を経由して経営理念を浸透させましょう。

なお、この中間マネジメント層はあくまでも「経営側・会社側の視点」で思考できる人物でなければなりません。部下と一緒に会社を批判しているようでは管理者として不適格です。「会社としてはこういう考え方で進めようとしているので一緒に頑張ろう」と説得するスキルが求められます。

 

経営理念や企業ブランディングの浸透

「50人の壁」をスムーズに乗り越えるために、経営理念や企業ブランディングを浸透させる手段を練っておくなど、人数が少ない時期から対策を講じておきましょう。

具体的には、「社員研修の実施」や「経営理念やビジョンを踏まえた評価制度の整備」をすることで、社員一人ひとりに経営者の考え方を理解させ、会社が一体となって事業に邁進できるようになります。中間マネジメント層と末端社員との「1対1のミーティングの実施」も有用です。

 

なお、「企業ブランディング」という単語から「消費者や取引先に対して、自社のイメージを向上させること」を想起する方もいるかもしれません。ですが、社内に向けた「インナーブランディング」も大切な経営施策です。

インナーブランディングによって社員が企業理念に共感するようになり、エンゲージメント(愛社心)が向上すれば、一致団結して事業に取り組むことが可能になるでしょう。

 

理念浸透の具体的な成功事例とは?

経営理念の浸透に成功した企業の具体例を2つご紹介します。

 

スタメン社の事例

スタメン社では、「一人でも多くの人に、感動を届け、幸せを広める」という経営理念に沿ったメッセージを日常的に社員に向けて発信していることが特長です。

例えば、オフィスを改装する際に「コスト削減のために、家具を手作りせよ」と命令するのではなく、「みんなでオフィスをつくりたい」と理念に沿った形で伝えることで、社員のエンゲージメント向上を図っています。

 

スターバックス社の事例

スターバックス社では、インナーブランディングを取り入れることによって、会社のミッションやバリューへの共感を高め、業務における社員の主体的な行動に繋げていることが特長です。

その結果、「接客マニュアル」が存在しないにもかかわらず、社員が「こうありたい」という内発的動機に基づいて動くことで、前向きで明るい接客が実現されています。

 

まとめ

組織の規模が大きくなり、社員の数が増加すると、社長1人では全社員とコミュニケーションが取れなくなるため、創業当時には存在しなかったさまざまな問題が発生してきます。

特に社員数が50人を超える際には「50人の壁」と形容される経営課題に直面し、組織運営が危機的状況に陥ることがあります。あらかじめ中間マネジメント層の育成や経営理念の浸透、インナーブランディングといった対策を講じておきましょう。

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