2021.09.18 2023.08.09
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社員の成長意欲を高める方法とは?具体的なアイデア&注意点を紹介

2021年現在、「Z世代」と呼ばれる世代の若者が大学や大学院を卒業・修了し、企業や官公庁に就職して働きはじめています。Z世代は、彼らよりも上の世代とはさまざまな点で価値観が異なるため、上司や先輩の立場にある者は接し方に注意する必要があります。「同じ社会で生活しているのだから、感じ方も同じだろう」と考えてはいけません。
本記事では、社会人としての活動をスタートしつつある「Z世代」の特徴や、彼らの能力を引き出すマネジメントの秘訣について徹底解説します。

【目次】

Z世代とは?

「Z世代」とは、おおよそ1990年代後半から2000年代前半あたりに生まれた世代を指す用語です。唯一の定義が存在するわけではなく、「1995年~2009年に生まれた世代」「1995年~2002年に生まれた世代」「1997年以降に生まれた世代」「1995年以降に生まれた世代」など、論者や媒体によってさまざまな定義で使われていることにご留意ください。

主に2010年代後半から2020年代前半にかけて学校を卒業して社会人になる世代であり、2021年前後の新卒社員はZ世代に該当します。今後、企業が成長し続けていくためには、Z世代に活躍してもらう必要があります。

 

Z世代の特徴

Z世代の特徴を挙げると、以下のようになります。

 

・デジタルネイティブ(物心がつく頃には、すでにインターネットやデジタル機器が普及)

・パソコンよりもスマートフォンを使って世界中の情報を入手する

・電話よりもSNS(LINE、Twitterなど)を使って連絡することを好む

・インターネットを通じて他者と知り合うことに抵抗を感じない

・モノ消費よりもコト消費(スポーツ観戦、ライブ・コンサートなどの体験型消費)を好む

・音楽、映像配信、飲食などのサブスクリプション(定額制)サービスを頻繁に利用する

 

これらは、あくまでも一般的な傾向です。個々人によって異なるケースも存在します。

 

ミレニアル世代との違い

「ミレニアル世代」(Millennial Generation)とは、おおよそ1980年代前半から1990年代前半にかけて生まれた世代を指す用語です。呼称は、ミレニアム(新千年紀、Millennium)が到来した西暦2001年以降に社会人として働きはじめる世代であることに由来します。Z世代の定義と同様に、ミレニアル世代の定義も、「1981年~1996年に生まれた世代」「1975年から1990年代前半に生まれた世代」など、論者や媒体によって揺らぎがあります。

アメリカではミレニアル世代のことを「ジェネレーションY」(Y世代)と呼ぶケースもあり、Z世代(Generation Z)という呼称は、Y世代(Generation Y)に続く世代であることに由来します。ちなみに、Y世代の上の世代は「X世代」と呼ばれますが、「1960年~1974年に生まれた世代」「1965年~1980年に生まれた世代」など、論者や媒体によってさまざまな定義があることにご留意ください。

Z世代とミレニアル世代(Y世代)はいずれもデジタル機器の操作が得意であり、TwitterやLINE、InstagramといったSNSを頻繁に利用していますが、以下に示す点が異なります。

 

Z世代

・幼少期からデジタル機器に接しているデジタルネイティブ世代

・最初に保有した携帯電話端末はスマートフォン

・子ども時代からLINEなどのSNS、動画配信サイトを使いこなしてきた

ミレニアル世代(Y世代)

・成長後にIT革命・インターネットの普及を経験したデジタルパイオニア世代

・最初に保有した携帯電話端末はフィーチャーフォン

・インターネット草創期には、SNSや動画配信サイトが存在しなかった

 

世代の上限・下限付近に相当する年齢だったり、生育環境が特殊だったりする場合は当てはまらないこともありますが、一般的傾向として覚えておくとよいでしょう。

多くのミレニアル世代は「上司」や「先輩」といった立場でZ世代と対峙することになりますが、「自分とは異なる時代背景・環境の中で育ってきた」「価値観に差がある」という事実を踏まえて接してください。

 

Z世代の働き方の特徴

Z世代の働き方の特徴は、「ワークライフバランスの重視」「多様な働き方を柔軟に取り入れられる」「堅実で安定志向」の3つです。以下、それぞれについて詳しく説明していきます。

 

ワークライフバランスの重視

Z世代の特徴のひとつは、ワークライフバランスを重視すること。ただし、仕事とプライベートを完全に切り分けるのではなく、両方とも生きるうえで必要なものと捉え、総合的に考える傾向が見受けられます。

「9時に出社して、オフィスで17時まで仕事をし続ける」というスタイルは働く側にとってはストレスがたまるものですが、最近は「パソコンやWi-Fi環境があれば、オフィスに出社せずにいつでもどこでも仕事が可能」というケースも増えています。ただし、在宅ワークの場合、仕事とプライベートの時間を完全に分離することは困難です。

リモートワークの普及状況やZ世代の価値観を踏まえると、決まった時間の中で労働することを強いるのではなく、仕事と私生活を連動させる「ワーク・ライフ・インテグレ―ション」というコンセプトを導入し、「仕事をしたいときに仕事をし、休みたいときに休む」という仕組みを構築するほうがよいでしょう。

 

多様な働き方を柔軟に取り入れられる

副業などに興味・関心があり、多様な働き方を柔軟に取り入れることができるのも、Z世代の特徴といえるでしょう。

 

Z世代は、「スラッシュキャリア」(複数の仕事を掛け持ちし、さまざまな分野にまたがるキャリアを築くこと)や「ギグ・エコノミー」(インターネットを通じて、プロジェクト単位で仕事を請け負う仕組み)に対してあまり抵抗を感じない傾向が見受けられます。

Z世代にとって居心地が良い職場環境を構築し、早期離職を防止するためには、副業を禁止するべきではありません。

 

堅実で安定志向

仕事に対して堅実かつ保守的な考え方を持っていることもZ世代の特徴であり、新卒時の就職先として「安定している企業」を希望する傾向が見受けられます。安定志向の背景には、親世代が終身雇用が崩壊しつつある社会環境に身を置いていて、成長期にその様子を目の当たりにしていることが挙げられます。

ただし、保守的な部分がある一方で、Z世代は「他人は他人、自分は自分」という価値観も有しています。「ダイバーシティ」や「インクルージョン」といった文化が浸透している世代であり、他者に対して自分の考え方を押し付けることはありません。

 

Z世代のマネジメントや採用のポイントとは?

Z世代のマネジメントや採用におけるポイントは、「フラットなコミュニケーションを重視」「デジタルネイティブの強みを活かす」「多様な働き方の実現をサポート」の3つが挙げられます。以下、それぞれについて詳しく説明していきます。

 

フラットなコミュニケーションを重視

Z世代は、「上司が部下に対し、一方的に組織の都合を押し付ける」というような上下関係を嫌います。「終身雇用のみが唯一の選択肢」という考え方ではないため、「部下だから」という理由だけで価値観を押し付けると、最悪の場合、離職してしまうかもしれません。

Z世代と接する際は、価値観を上から押し付けるのではなく、対等な立場でコミュニケーションをしましょう。大切なのは、「上司と部下」「先輩と後輩」といった立場・関係を超えて、フラットな視点で議論をすることです。

なお、Z世代は、SNSなどを通じて多様な価値観に接しながら成長した世代であり、自分らしさや個性を重視しています。そのため、Z世代の能力を引き出すためには、画一的に命令を出すのではなく、個別にコミュニケーションを図り、一人ひとりが主体的に行動できる環境を構築しなければなりません。仕事の目的や評価基準などを細かく伝達し、適切なタイミングで良い点や改善すべき点などをフィードバックするように心掛けるとよいでしょう。

 

デジタルネイティブの強みを活かす

Z世代の強みは、デジタルネイティブであること。幼少期からパソコンやスマートフォンといったデジタル機器に囲まれ、SNSなどを使いこなしながら成長しているため、ITに慣れ親しんでいます。ITツールやデバイスを選定する際には、Z世代の意見を参考にするとよいでしょう。

また、企業でTwitterやInstagram、LINEといったSNSのアカウントを運用したり、YouTubeなどの動画配信サイトに動画をアップロードしたりする場合、Z世代に任せてみてはいかがでしょうか。上司の負担が減ると同時に、「Z世代のやりがいが増す」という効果も期待できます。Z世代はSNSや動画配信サイトに親しんでいるため、運用のための教育・訓練コストの低減にもつながるでしょう。

なお、Z世代は「効率性重視」「合理的」といった要素も持ち合わせており、「飲み会への強制参加」を嫌う傾向があるので、勤務時間終了後に飲み会に無理やり参加させるような文化・慣習がある場合は、それを取り除くべきです。

企業がこれからも成長を続けていくためには、Z世代の活躍が不可欠です。貴重な戦力となる存在なので、非合理的な文化・慣習を「通過儀礼」として押し付けるのではなく、合理的な教育・訓練で能力を引き出し、Z世代の「デジタルネイティブ」「効率性重視」といった強みを活かしましょう。

 

多様な働き方の実現をサポート

Z世代の採用にあたっては、多様な働き方を選べる環境を構築しておく必要があります。Z世代は「副業」や「テレワーク」ができるかどうかを就職先選びの際にチェックします。これらを可能にする社内体制を整備すれば、Z世代が就職先として自社を選ぶ可能性が高まるでしょう。政府が働き方改革を推進していることもあり、副業・兼業を行いやすい環境を整えることや、いつでもどこからでも仕事ができる仕組みをつくることは、どの企業にとっても避けて通れない課題です。

なお、「終身雇用が絶対」という価値観を持っていないZ世代は、「この企業は自分に合わない」と感じたら、すぐに退職する可能性があります。早期離職を防ぐためには、Z世代からヒアリングを行って、「どのような仕組み・制度を求めているのか」を把握しなければなりません。

ちなみに、厚生労働省の調査によると、「大学卒業後に新卒で就職した企業を3年以内に離職する割合」は3割を超えています。

Z世代は子どもの頃からSNSを通じてさまざまな情報に接しているため、「会社の命令は絶対」という考え方をしません。「せっかく採用して教育・訓練を実施したのに、すぐに離職してしまった」という状況に陥らないためには、「メンター」を付けて気軽に悩みを相談できる環境を構築する必要があります。

メンターとの間で信頼関係を深めていけば、Z世代の率直な気持ちを聞き出すことが可能になります。それをもとに、多様な働き方の実現をサポートするための施策を講じれば、早期離職の防止につながるでしょう。

 

参考:厚生労働省「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000689563.pdf

 

まとめ

Z世代は、これからの日本社会を牽引していく存在です。Z世代の「デジタルネイティブ」「効率性重視」といった強みを活かすことは、企業が長く成長を続けていくうえで欠かせません。採用を検討している企業は、「ワークライフバランスの重視」「多様な働き方を柔軟に取り入れられる」「堅実で安定志向」といったZ世代の働き方の特徴を把握したうえで、彼らの望む職場環境を整えましょう。

Z世代は終身雇用を絶対視していないため、「上司の命令に黙って従え」というような職場環境では、早期離職してしまうかもしれません。Z世代から自社が就職先として選ばれ、長く働き続けてもらうためには、フラットなコミュニケーションを重視し、デジタルネイティブの強みを活かすような仕事を与えると同時に、多様な働き方の実現をサポートし、楽しく働ける職場にすることが必要です。

企業がZ世代にとって居心地の良い環境を整えれば、他の世代も「働きやすい」と感じるようになるでしょう。本記事の内容が、Z世代の特徴や、能力を引き出すマネジメントの秘訣を知りたい方のお役に立つことができれば幸いです。

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